「華氏911」主演?ブッシュ大統領「最悪男優部門」
最も酷い「映画」や「俳優」を選ぶことが「趣旨」の
「ゴールデン・ラズベリー賞」の「最悪男優部門」に
「華氏911」で「主演」した?「ブッシュ大統領」
主催者によると…自然体の「演技力」が評価されたとか!
【ブッシュ大統領が「最悪男優部門」にノミネート】(サンスポ.com)
愚図愚図と酔いしれて…【023】
名古屋・御園座。又、一ヶ月間の『馬喰一代』の舞台が始まる。ここでは、おもちゃの二挺拳銃が渋谷天外から勲にプレゼントされた。腰にガンベルト、両手を左右のガンホルダーの位置に構える。ヤホヤホ~ヤホ~ッ!アパッチ族の襲来だ。勲はやや腰を落とし、敵の馬群を冷静に見つめる。「まだ早い…」バッカバッカバッカ~酋長の馬の足許に視線を遣る。「今だ!」サッと両手がガンホルダーの中の拳銃を取り、前方に構える。銃口からはポンポンと二個の紐付きのコルク栓の弾が飛び出し、銃口の下に垂れ下がる。フン、口ほどにもない奴らめ…。
丁度、大相撲名古屋場所が初日を迎えている。ここ数場所、関脇・房錦の調子がよく、ファンの注目を浴びている。当時の日本映画界は黄金時代で製作本数も五社で競い合っていた。『褐色の弾丸・房錦』が封切られていた。立合いの一瞬、頭を相手の胸元に弾丸のように突っ込み、両手を追っ付け一気に寄り切る。そんな相撲ぶりの小兵力士、関脇・房錦が主演の一代記である。相撲とプロレス、プロ野球が、テレビジョンの普及と共に国民的人気を博していた。
御園座の楽屋では大相撲のトトカルチョが流行っていた。小太鼓の輪っかに二メートル程の棒を通し、ふたりの役者が前後に担ぎ、太鼓を叩いて楽屋を練り歩く。触れ太鼓の真似事なのだ。前は藤山寛美。その日の取り組み表を基に、勝ち力士を当てる、単純な博打だ。松竹新喜劇で藤山寛美はまだ脇役だった。後年、寛美は大借金を抱え込むことになる。勲は寛美にも可愛がられていた。新橋演舞場同様、子役四人は旅館での合宿生活。公演が休みの日、旅館の部屋で四人は、自分たちの芝居以外の演目の一場面を、役柄を振り分けて演じる遊びを考え出した。谷崎潤一郎原作の『細雪』夜の部の人気舞台だ。四人姉妹の役を子役四人で演じる。恐ろしいもので毎日のように、楽屋のスピーカーから漏れてくる台詞を聞いたり、舞台の袖から見学していると台詞を覚えてしまう。部屋の中で物真似芝居を演じるうち、勲はひょんなことから転び、座卓の角でしこたま額を打ち付けた。見る見るうちにでぼちんが膨れあがる。大きなたんこぶが隆起する。ウェ~ン!烈火のごとく勲は泣き叫ぶ。泣き声を聞いて一番最初に部屋に飛び込んできたのが、寛美兄ぃちゃんだ。旅館の女将にアロエの葉を貰って来て、葉を半分に裂き、中身を額に当てる。熱を帯びていたたんこぶにアロエの身の冷気が、優しく包む。この一件以来、勲は寛美兄ぃちゃんを役者の師と仰ぐ。その後、大阪の中座の舞台で勲は、度々、寛美と共演する。だが台詞は、無いに等しい。
『馬喰一代』の暮れの大阪・中座の公演も無事終わり、勲は昭和三十三年の正月を迎えた。


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