宮沢りえ!映画「花よりもなほ」是枝裕和監督作品
「宮沢りえ」の次回映画は…昨年の「誰も知らない」が
「カンヌ国際映画祭」で認められた「是枝裕和」監督の
初の時代劇「花よりもなほ」…原作は「藤沢周平」で!
「映画賞」を総なめにした「たそがれ清兵衛」と同じ!
【宮沢りえ、次回映画は是枝監督の最新作「花よりもなほ」】(サンスポ.com)
愚図愚図と酔いしれて…【074】
夏休み―。
登は、例年通り広島県・呉市の田舎に里帰りしていた。悪戯遊びの相手が居ない。マッカでは、頼り無い。有沢幸男は十日間、大阪南部の浜寺にある別荘で過ごしている。勲の田舎といえば、父の出身地、徳島県の石井という小さな村だ。しかし、これまで一度も父は連れて行ってくれない。理由は知らない。
母はH区の隣、F市生まれなので田舎は無い。毎朝、六時の学校でのラジオ体操、午前中の「夏休みの友」の宿題を終えると、暇だ。
自転車を駆って、勲は町内をブラブラ練り走る。F小学校近くを走っていると、一人の人影を見つける。近づいてみると、石原という二組の小柄な、顔見知り。「おっ、石原、何してんねん?」「……」これまで話したことは、一度も無い。石原は勲を、警戒している。というのも、勲は五年生の中では、やんちゃで通っているからである。「どこ、行くねん?」「帰るねん」「家にか?よし、送ったるわ!」何しろ、暇なのだ。固辞する石原を無理やり荷台に乗せ、運ぶ。
でかい円筒形をしたガスタンクの近くに、石原の住むアパートはある。薄汚れたタイル壁の所々が、朽ちている。自分の住みかを石原は勲に、見せたく無かった。だから固辞したのだ。しかし勲は、そんなことには無頓着。「お前、何持ってんねん?」石原が手に、丸めた新聞紙を大事そうに持っていることに、初めて気づく。「何でもない…」「ちょっと見してみいや」「何でもないて…」勲は強引に新聞紙を剥がしにかかる。
中には、山蟻が十数匹、蠢いている。「何や、蟻やんけ!お前、これどないしてん?」
観念したのか石原は、山蟻をF小学校の築山の砂の中から探して、持ち帰った事の次第を告白する。
「先生に、ばらさんといてや…」勲にそんなつもりは毛頭、無い。いつも悪戯している勲にとって、先生は〔鬼門〕だ。「ほんでお前、この蟻、どうすんねん?」興味は、蟻のその後だ。「…俺なぁ、蟻飼うてんねん」「蟻、飼う?どういうこっちゃ」「家の中で、飼うてんねん」「ほんまか?ほんなら俺に見せてくれや!」「…藤田、見てくれるんか?」石原の顔が、やっと綻ぶ。


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