アニメ「サザエさん」2代目「ワカメちゃん」勇退
アニメ「サザエさん」の「ワカメ」の声優を務めている
「野村道子」さんが「活動の場を広げたい」…と勇退!
「65歳」から「39歳」の「津村まこと」への「交代劇」
「29年ぶり」となる「声変わり」が与える影響や如何?
【29年間…2代目「ワカメちゃん」野村道子さん勇退】(サンスポ.com)
愚図愚図と酔いしれて…【065】
家の玄関で兄のバイオリン演奏を、勲は別世界の音色のように聴いたものだ。長男長女を早くに亡くした父と母は、兄を手塩に掛けて育てた。浜寺水練学校で体を鍛え、フィギァスケートをスイスイこなす兄は、幼い勲の目にも、兄弟の中で育ちが違う存在に見えた。
兄は弘子の家にも、よく通った。弘子のピアノと兄のバイオリンの協奏―それを傍で紅茶でも飲みながら聴く、弘子の父と母―やはり、別世界だ。
高校を卒業した兄は、大阪S大学の工学部に進む。兄は将来、分析化学を生かした仕事を目指していたようだ。父も母も家業の印刷工場を兄の為に、転業してもいいと考えていたのかも知れない。しかし、そうはならなかった。
藤田家、内山家双方とも兄と弘子の婚約は、既定の事実として捉えていた。そこに問題が生じたのである。
内山家は一人娘の弘子に、兄を養子に迎え入れる条件を提示した。その上、兄が医者になって内山医院を継ぐことも条件とした。藤田家の父母にとっては、まさに青天の霹靂である。女なら、蝶よ花よと育てたというのだろうが、兄は事実、そのように育てられた。事実上、藤田家の長男として父母は、大切に大切に育てた。その息子を養子に出す。易々と承諾できる条件ではない。父母とも藤田家の養子に入って苦労を重ねたからこそ、余計に譲歩できるものではない。
しかし兄は、弘子との結婚を最優先に内山家の条件通りに身を処した。S大学の二年間の教養課程を終え、東京のT医科大学の編入試験に合格。この年まで大学同士の編入制度があった。晴れて兄は四年間の医大生活を送る事となる。弘子が神戸の名門女子大を卒業するのを待って、二人は婚約した。東京世田谷区に小さな居を内山家が用意し、二人の東京生活が始まる。そして一年後、兄は学生結婚した。


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